はじまりました、歌がうまくなる方法について語る本コラム。 第1回目は、ボイストレーニング自体の前に、まず歌う姿勢についてです。

毎日いろんな人のレッスンをしておりますと、本当に様々な姿勢で歌っている方がいますね。 猫背になっている人、上を向いて歌う人、はたまた地面を見て目を瞑りながら、お経でも上げているかの様に歌う人、本当に様々です。

一体、どういう姿勢で歌えば歌いやすいのでしょう? またどの様な姿勢で歌うと、聴いているオーディエンスにあなたの歌を届けることができるのでしょう? 歌は姿勢によって大きな影響を受けます。

それは第2回でお話する、腹式呼吸に大きな関わりがあります。腹式呼吸とは横隔膜という肺の下にある膜を使います。姿勢が悪いと、どうしても横隔膜の上下運動を阻害してしまうのです。 また声の共鳴をも阻害してしまうのです。

ライブハウスなどでせっかく良い声質をしているのに何故か響かない。マイク通りが悪い。ピッチが安定しない。そんなボーカリストを沢山見ます。 猫背で歌っていて良い声を出す人は、あまり見たことがありません。

それは何故でしょう?もしトランペットの先っぽが曲がっていたら、良い音が出ますか? 絶対に出ません。声もそれと同じなのです。

歌を歌うには、自分の声を最大限に活かせる姿勢があるのです。ボーカリストにとって、体は楽器そのものなのです。せっかく一流のボーカリストを目指しているのですから、やっぱり良い声が出る姿勢で歌いたいですよね?

それともう1つ、姿勢には大きな役割があります。 それはボーカリストの生命線とも言えること。それはオーラです。堂々とした姿勢、これこそがオーラを生み出すのです。

例えば皆さんが、あるアーティストのコンサートに行ったとしましょう。そのアーティストは出てくるなり下を向いて歌い始め、結局1回も客席の方を見ませんでした。地面ばかり向いて歌っていました。

少なくとも私は、そんなアーティストには何のオーラも感じません。皆さんには堂々とした姿勢で、堂々とした声を出してオーディエンスに届く歌が歌えるアーティストになって頂きたいのです。

では、どの様な姿勢で歌えば良いのでしょう?答えは残念ながらここには書けません。「なんだケチ!教えろよ!」と思った人も多いと思います。何もケチで「書けません」と言っているのではないのです。

その姿勢の状態というものは、個々千差万別に違うのです。すごく胸を張ると良い人もいれば、あまり張らない方が良い声が出る人もいます。

ここで私が「こう言う姿勢がベストです!」 と書いてしまって、それを見て一人で実践された人が、「前より声が出にくくなった」とか「その姿勢で歌うとなんか喉にくる」などの弊害が出てしまっては、まったくこのコラムの意味がなくなってしまいます。これはきちんと声を見抜けるボイストレーナーに調整してもらうしかないのです。

一流の楽器演奏家は自分の楽器を、一流の調律師に調整してもらいます。それと同じですね。

そして正しい姿勢で歌える癖がついたら、今度はステージの上でパフォーマンスができるように動きながら、歌える様にしていくのです。

ミュージックバンカー代表の水谷

最後に1つ。猫背だけは駄目です!

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